「鏡の視点」とは

鏡リュウジが何を感じ、何を思考しているか。気楽なものからレクチャー的要素もからめた雑文コーナー。海外のアカデミズムの世界で占星術を扱う論文などの紹介も積極的にしていく予定です。

星の魔法円を銀座で

いま、銀座のファッションビル・OPAQUEさんで、ちょっと面白い企画をやらせていただいている。このビル全体を、期間限定で「パワースポット」にしちゃおうというのだ。

ことの起こりは、スピリチュアルな情報サイト、マイスピさんとOPAQUEさんがコラボするということから始まった。なんでも、文化系トークラジオLIFEで、ぼくがゲスト出演したおり、「マイスピ」の話をぼくがしていたのを某代理店の方が聞いていてくださって、そこから話しが出たというのだ。

当初は、ぼくのほうはちょっとトークショーをやって原稿を少し書けばいいだけのことかと思っていたのだが、いざ、打ち合わせに伺ってみると、なんだか勝手にいろいろ口を出したくなってしまって、いろんなアイデアを出させていただいたのだった。手前味噌でいうと、そのアイデアでいろいろな企画に一本筋が通ったとクライアントさまにもおっしゃっていただけた。

店舗の図面などを見せていただいて、そこでひらめいたのが星の魔法円を作っていただくというプラン。銀座OPAQUEの地下1階には、下から照明ができるステージがある。ここにパワーストーンを配置して、マジカルなオブジェを作ればきっときれいではないか。

おりしもクリスマス。今年のクリスマスは新月だ。その星の配置を再現したらどうだろう。しかも、それを立体で。宝石を星にみたて、ホロスコープを作成するという伝承は中世からある。

有名なところでは、アレクサンダー大王にまつわる伝説。アレクサンダーの母、オリンピアがエジプトの占星術師に占わせた際、その占星術家にして呪術師は宝石を星にみたててボードの上にホロスコープを描かせたというのだ。

今回はその大きなバージョンだ(石の伝承については、私が監修した『図説宝石と鉱物の文化誌』)などを参照ください)。石はすぐに、長くお世話になっているパワーストーンの老舗トライアングルの野崎社長にお電話してご手配いただいた。社長も面白がってくださって、何でも協力すると。本当に感謝。

設営は一晩。ステージは店のド真ん中にある。営業時間内に人の流れを止めるわけにはいかない。営業が終了してから、作業に入る。スタッフの方は不眠不休でやってくださったという。

出来上がったパワーストーンのホロスコープをみると、実に美しい出来。その中央に立って見る。するとなぜか不思議な感覚につつまれる。ちょうど階段が二本、斜めに頭上を横切っていることもあるせいか、らせん状にエネルギーが上昇しているのを感じる、という方もいた。

物理的にそのようなエネルギーが存在しているかどうかは、この際、こだわるような無粋なことはしなくていいだろう。人はなぜか魔法の円を描き、そのなかで儀式を行うということを古代からやってきた。それが守護の円であり、そのなかにエネルギーというか気をチャージするスペースでもある。

中世からのグリモワール(魔術書)などの伝統では、魔術師は聖なる剣などで直径9フィートの魔法円を描き、その中に立って儀式を行うことになる。この円のなかには魔的なものは入れない。その心理学的意味について、心理学者ユングはその著『心理学と錬金術』のなかでこのように述べている。

「円を描いて封じるという好機は、特殊な秘密の意図を抱いている人間の誰もが用いてきた大昔からある魔術的手段である。彼はこうすることによって、秘密ゆえに孤立しているすべての人間を襲うところの、あの外部から迫りくる『魂の危険』にたいして身を護るのである。逆にまたこの手段は昔から一地域を神聖不可侵なものとして隔離するためにも用いられる」

宇宙そのものを象徴する12星座の記号があり、そこにパワーストーンが配置されている。その真ん中に立つと、何か不思議な聖なる感覚のようなものが生れてくる。

期間中、この星の魔法円のなかには実際に立っていただくことができる。みなさん遠慮がちで、なかに立たれている方はまだ少ないようだが、ぜひ、ご自由に星の魔法円のなかに立ち、楽しんでみていただきたい。聖なる夜の星空の真ん中に立つ機会、なかなかないと思いますぞ。

★銀座OPAQUE
http://corp.world.co.jp/news/brand/2011/1116.html
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